建物と文化

筋交いのない土塗り壁工法
「限界耐力設計」県内最初の認定物件です。




筋交いがない土塗り壁のT邸は、おそらく県下で一番最初に「限界体力設計法」で建築確認申請された物件だと思います。

耳なれない言葉「限界体力設計」とは、京都大学防災研究所・鈴木祥之教授と、財団法人日本建築総合試験所との共同事業「木造軸組構法の耐震設計法──改正基準法の法体系から最新の限界体力設計法まで──」が企画されたことによります。

ようするに筋交いを使わず、木と木との組み手の強さ、土塗り壁のねばり強さ、その二つの特徴である「地震などの時にも、自分の力でもどる強さを評価してあげましょう」というもの。壁量計算により地震にも充分に耐えうる構造が証明されたからです。

建物の構造材である木と木の、口の字の斜めに入れる筋交い、それを補強する金具を使わないことは、大工さんの腕の見せ所でもあるし、左官屋さんのヤリガイにも通じます。もちろんお施主さんが「家はやっぱり土塗り壁や」という一言がなかったら実現しませんでしたけどね。